お盆は帰省取りやめになり暇だったので、圏論勉強会で少し興味の出た量子力学(というか、量子コンピューティング)の本をちょろちょろと眺めてました。勉強会で盛り上がった量子テレポーテーションも、Abramsky流でなく、一般的な流儀に沿って眺めてみました。
とりあえず、量子テレポーテーションが何ぞや、という概要は理解しましたが…これがどうして、勉強会のあの図につながるのか。いやー、全然わからんです。一般的なやつとAbramsky流と、全然対応が取れないもん。
檜山さんとこやhiroki_fさんとこでも色々盛り上がってますが、さもありなん。
ということで、Abramsky&Coeckeの、もう少しtechnicalなのをつまんでみました→これ。
Abramsky, S. and Coecke, B. (2004) A categorical semantics of quantum protocols.
In: Proceedings of the 19th Annual IEEE Symposium on Logic in Computer
Science (LiCS‘04), IEEE Computer Science Press. An extended & improved
version is available at arXiv:quant-ph/0402130
ぶっちゃけ文章は全く読んでないんですが(笑)、図を見たらかなりわかりやすかったのです。以下引用。
一般的な量子テレポーテーション実現回路の図。左下が入力状態|φ>、右下がベル状態。MBellの箱で2ビットの観測をして、古典チャンネルを使って送信、Uxで|φ>が復元されると。
ここまでで既に、心眼のある人なら大分見えてくる気がしますがw 更に、次のような図によって抽象化されます。ばーん。
この図の右側と、さっきの図を対応させるとわかり良いかも。
で、ヒビルテに貼ってあるような、以下の図(左)につながると。
つーことで、やっぱりピンクの上三角("Bell-costate")は観測器、ピンクの下三角はベル状態だと思われます。
古典チャンネルと復元回路(って一般的にいうのかな?とりあえず、ここではそう呼びます)Uxが見た目省かれているのですが、上三角で観測される2ビットによって、どのような復元処理をするかが自動的に(1対1に)決定するんで省略するよー、という事のようです。2枚目の図が、そのあたりを解説しようとしてるんじゃないかと推測。本文読んでないんで(ぉぃ
あと、ピンクの下三角がAliceとBobにまたがってますが、これは今改めて見ると、2人がベル状態を共有していると解釈できそうです。
素人なんで色々まだよくわかりませんが、まぁでもこんな感じじゃないかな。
[追記]ここまでの理解が正しければ、AbramskyやCoeckeが"Bell-costate"と呼んでいるものは、いわゆるベル状態と対になるのではなく、ベル状態+復元回路と対になっているらしい。なので、"Bell-costate"と名づけるのは、無駄に混乱を招くんではないかなぁ。ここまでの理解が正しければ。
[追記2]…とは言いすぎ?でも少なくとも、古典チャンネルと復元回路の存在を大胆に省いて(implicitにして)しまっているところが、全体を見えにくくしている大きな要因とはいえると思う。逆に言えば、Abramsky流量子テレポーテーションは、一般的に言う量子テレポーテーションから古典チャンネルと復元回路を取り払った部分のみを扱ってる、と見たほうが、(彼らの説明とは少し相容れなくなるけど)純粋な理解ができそう。
[追記3] Bell-costate について、若干補足→http://d.hatena.ne.jp/bonotake/20080817/1218953309