bonotakeの日記

ソフトウェア工学系研究者 → AIエンジニア → スクラムマスター・アジャイルコーチ

スクラムフェス仙台2024に参加してきました

8/23, 24 に開催されたスクラムフェス仙台2024に参加してきました。

www.scrumfestsendai.org

ということで軽い振り返りを。

2つのセッションで登壇した

今年はなるたけ研究に時間を割きたいという思いがあり、スクフェスへのプロポーザルなどは抑えめにしていたのですが、まぁ夏に1回くらいええやろ、ということで仙台には出すことに。
で、思いついたアイデア2つをまんま仙台に出したら2つとも採択されてしまいました。大変ありがたかったですが準備がやっぱり大変だった……

自分の講演1「チームが自己組織化してから敢えて専任スクラムマスターを置いてみたらめちゃめちゃワークした話」

speakerdeck.com

自分の講演2:実践 vs 理論:叩き上げのスクラムマスターが実践した手法を研究者が学術的に分析する!

speakerdeck.com

中身についてはぜひスライドなり、今後公開されるであろう当日の録画をご覧いただくとして、2つとも初の共同登壇だったんですが、違いは、1つめがオンラインで2つめがオンサイトの現地登壇だったことでした。
1つめに関しては共同登壇した3人のうち、佐藤さんが東京からオンラインでつなぐ、ということで、登壇者同士もリモートでやりとりするので、やっぱり結構難しいというか、担当分けてただ読んでくしかできなかったです。
他方2つめは、元々壇上で雑談するノリで気楽にやろうと打ち合わせていたのもあり、すごくやりやすかったですね。聴衆の反応もわかりやすいし。

仙台のオンライントラック、現地会場でも中継しているのですがその人たちとコミュニケーションをとる手段がほとんどなくて、Discord使う人も少数派だし、Zoomの人数カウントにも反映されないので、何人の人が聴いてたのかもわからず聴衆の反応もわからない、という辛さがありました。いい方法ないかなぁ。

キーノートがやばかった

「特務機関NERV」を開発している株式会社ゲヒルンの石森社長によるキーノート、凄かったです。石森さんの口から語られるストーリーがあまりにもドラマチックで、まるで映画を観ているかのような気分になりました。

こんな企業が現実に存在してビジネスを維持できているのはある種の奇跡だと思います。ビジネスが目的ではなく、あくまで自分たちがやりたいことをやり続けるための手段であるという信念を社長が貫いていて、そうなると確実に発生しそうな株主との衝突をうまくやりすごせるNo.2がいて、普通の会社には馴染めないかもしれない尖ったギーク達がパフォーマンスを発揮し続けられる環境が作れていて……という、あらゆるピースがキレイにハマっているのがまさに奇跡ではないかと。

この日の夜、後述する「おおひらラジオ」で、こうした尖ったギーク達をスクラムはコミュニケーションを重視するあまりに排除していっているのでは、本当にそれでいいんだっけ、という話をkyonさんとしていました。

何人かの方とお話しした

今回、他のセッションも当然見てたのですが、現地で人と話してる方が色々印象的だったので書き残しておきます。

横道さんと話した

1日目のネットワーキングパーティの時間、プロダクトコーチの横道さん が声をかけてくださいました。実は初対面。

横道さん、6月にあったスクラムフェス大阪のキーノートで出世とかマネジングアップとかの話をされて結構コミュニティ内でも好意的な反応があったんですが、自分がそれが実は嫌で、1週間後くらいにTwitterでついこんなつぶやきをしたんです。

それを横道さんが捕捉されてて、開口一番「マネジングアップ嫌なんですか?」って話を振ってこられ……正直めっちゃ焦ったんですが、腹をくくって、かなり率直ベースで横道さんのキーノート批判を本人に対して一通り話しました。
横道さんはそれを真剣に受け止めてくださって、パーティ終了時間がほぼ終わって会場を追い出される直前まで2人で色々話しこんでました。

その日宿に帰ってから「初対面の人相手に率直に話しすぎたのでは?」と思い、翌日の会場で横道さんを見かけて謝罪したのですが、むしろフィードバックをもらえてありがたかった、と言ってくださってほっとした次第。今たまたまですが共通の企業を支援させてもらっていることもあって、今後も色々話しましょう、といってお別れしました。

どういう議論をしたかの内容を書き出すと長くなるので詳細は別の機会に譲りますが、ごく一部だけ書き出すと、横道さんは経営層の人たちと話した経験などがキーノートのモチベーションになっていたようで、なので横道さんが想定するマネジングアップの対象が実はトップマネジメントに寄っているのでは? と自分は推測しました。当日のキーノートだとミドルマネジメント層が対象に聴こえてしまったのですが。

日本はまだ企業丸ごとアジャイルトランスフォーメーションした事例ってほとんどなくて、仮にアジャイルを積極導入している企業でも普通はある階層までにとどまっており、それ以上は従来の階層型組織のままなので、ある階層以上のトップマネージャーに対してまだまだ「マネジングアップ」が必要、と考えるのはまぁわかる、という感じでした。

Ryoさんと話した

2日目の昼過ぎ、偶然 yamanecoのRyo Tanakaさん と初めてお会いして、お話しする機会がありました。

僕は数か月程度ですがホラクラシーを実践している企業で働いていたことがあり、その体験を以前おおひらさん に以前したことがあって、それ以降おおひらさんに度々「Ryoさんとぜひ話してみてほしい」と言われていたんですが、 それがひょんな拍子に実現した次第。

それでホラクラシーの話をしたんですが、Ryoさんが常に1つの組織を「ホラクラシーを実践するティールな組織」と「営利企業を運営するオレンジな組織」の2重人格のような体でずっと話されるのが大変興味深かったです。あー、ホラクラシーをやりこんだ人はこんな思考の仕方をするんだ、というのが学びでした。
理に適っているし、なるほどなーと思いつつ、常に2つの人格の間でアンビバレントな2つの思考を同時にし続けられるようになれる人ってどれくらいいるのかなぁ、とも。

ただ、僕は今ログラスさんでFASTというフレームワークを導入している最中で、あれもティール組織なので割とこの思考法は役に立つかも、とも思いましたし、このままやっていけばログラス社内の何人かもまたそういった思考にたどり着くかもしれません。ただし考案者の Quinton Quartel は恐らくそんな思考の持ち主ではなく、普通のアジリスタ(アジャイル実践者)な感じです。一般的なエンジニアからすると夢想家に見えるかもしれませんけど。

トークセッションひとことメモ

時間が無くなってきたので一言コメントですが、いくつかのトークセッションに参加しました。

  • rin otomo さんの「チームのリーダーとして振る舞うにあたって大事にしてよかった7つのこと」で、不意に自分の名前が出てきて面くらいましたが、チームのリーダーとして何をどう考えればいいか、といった中にRSGT2024での僕の講演にインスパイアされたところがあったそうで、シンプルに嬉しかったです。自分が話したことが見知らぬ誰かのためになっていた、というの、いいものですね。
  • naibanさんの「仙台育英の監督さんがサーバントリーダーそのものだった話」、仙台育英の監督の本をベースにサーバントリーダーシップを騙る話だったのですが、たまたまこの直前のセッションが自分としのぴーさんのリーダーシップ関連の講演で、たまたま自分が野村監督の『「問いかけ」からすべてはじまる』を参照しながらリーダーシップを語ってしまったため、ネタを被せてしまった形になっていました。いやはや申し訳ない。でもいずれちゃんと、仙台育英監督のリーダーシップについてnaibanさんとちゃんと話してみたいな、と思いました。

おおひらラジオ

1日目のネットワーキングパーティの後、翌日の朝最初のセッションが自分の講演だったためさっさと宿に帰ったんですが、ふとホテルの部屋でDiscordを覗くと「おおひらラジオ」なるチャンネルが。
kyonさんとおおひらさんが何やら話していたので、自分も何となく入って、その後語りました。なんかめっちゃ濃い話をいっぱい気がします。中でもおおひらさんのQAスタイルがエンタープライズ系ソフトウェア特化のかなり特殊なものだというのがどんどん解剖されていく様が大変楽しかったです。

2日目も、主にまつしゅーさんと、自分やまつしゅーさん含めてスクラムコミュニティの人が最近いろんな大学でアジャイルを教える流れができているようで、やっていき、的な話をしていました。

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