技術論やイノベーションを語る上で、エンジニアの士気や好奇心やモチベーションほど重要なものはない。てごわい大きな機能を実装するときには、まず関係のない小さなバグを2つ3つ潰したりして準備体操し、乗ってきた勢いにまかせてワーッと書く。文章を書くときだって、音楽をつくるときだって、グッとくる言い回しがひらめいたり、かっこいいリフが頭に浮かんだり、そういうときの嬉しさに乗じて一気に書き上げてしまうもんじゃない?エンジニアにとっては最も素朴な意味での好奇心がダントツに重要で、いったん好奇心が失われたら研究費を1000億積もうがどんな手を打とうが無駄なんだ。どこぞの研究所の所長さんゴメンね、でもこれが現実なんだ。
だから、グーグルの成功要因は、競合する優秀なエンジニアたちの「関心の喪失」からくる「勝手に周囲が脱落していったこと」による生き残りだったのだ、とぼくは考えている。グーグルだけが、常に興奮していられるいい玩具を持っていた。日々いじってて楽しい、ほぼ自動的に新しい問題が次々に供給されるいい玩具を。
(略)
だから今ぼくがエンジニアにアドバイスできることがあるとすれば、こういうことだ。1)見込みのあるアイデアを大きなものから小さなものまで常に複数転がしておけ、2)今取り組むべきアイデアは自分の好奇心に聞け、3)妄想からは何も学べないからとにかく動くものを書け、4)それで作ってみたものが面白いということは滅多にない、だから作ったものがなお面白ければそれはいけるアイデアだというサインだからとことんやれ、5)作ってみたものが面白くなければ勇気を振り絞ってボツにしてそのまま放置して別のアイデアへ行け。
こういうのを読むと元気出るなぁ。エンジニアと言っても、研究開発一般に言える話ですね。
O堀先生のいう「若手」というのは、こういうマインドを持っていられる人、って事なのかも。