bonotakeの日記

元・ソフトウェア工学系研究者、今・AI系エンジニア

QA4AIコンソーシアムの初会合がありました

今日、発起人に名を連ねているQA4AIコンソーシアムの初会合があり、とりあえず顔を出してみるなどしました。会社の会議があったので途中で抜けましたけど。

えーまず、30名ほどの参加者があり、それだけで圧倒されましたw(機械学習工学研究会、通称MLSEは主査+運営委員の8人だけで回してます……)

また同様の活動をしているMLSEでは、ベンチャーや新興企業のメンバーが多くてTシャツでも全く抵抗ないのですが、こちらは製造業・伝統的内資企業の方々が多く、年齢層高め+背広で、自分のTシャツ・ジーンズにジャケットがちょっと申し訳なかったり。
(などと言いつつ、もうこの格好でいろいろな場所に出向くのに慣れつつある、元製造業・伝統的内資企業の自分がいたりしますが……)

それに「発起人に声をかけるのは最初だけ」と石川冬樹先生(MLSE主査 兼 QA4AI運営副委員長)から聞いていたので、顔見せ程度の気分で気楽に参加したのですが、がっつり「活動しよう!アウトプットを出そう!」的ノリだったので更に申し訳なかったです。はい。

まぁ、僕にはどう考えてもMLSEとQA4AIのアクティブな活動の両立は当座無理だと思うので、後者は皆さんの頑張りに任せて、僕はゴマメ(関西弁)でいようと思います。

MLSEとQA4AIの住み分けですが、僕はMLSEについては「機械学習工学の認知・普及」と、皆さんへの「活動の場の提供」「研究・実践のファシリテーション」が主な役割だと認識しているので、MLSE運営が主体的に何かを発信していくとかアウトプットを出すとか、は当面ないと思っています。たぶん。

とはいえ活動趣旨は結構似通ってはいるので、適度に連携を取れればいいなとは思っています。

冨山和彦の国立大学への提言が酷かったのでメールを送ってしまいました

kyoiku.yomiuri.co.jp

僕はこの冨山和彦という人物は初めて知ったのだけども……何だこりゃ、というのが正直な感想。
というので、感想をしたためて読売新聞に送りつけてしまいました。本文にも書いたけど、散漫でまとまりがなく、残念な文章になってしまったけども、敢えてまとめ直す気力も時間もなかったのでそのまま送信しました。

以下、そのメール。多少このブログ向けに最適化しています。

読売新聞に送りつけた感想のような何か

読売新聞 松本美奈

貴紙記事『異見交論43 国立大への税金投下に「正当性なし」』を拝読しました。
既にネット上では、この記事は軽く「炎上」しており賛否両論で溢れかえっておりましたが、私も貴紙にぜひ直接意見を申したく、こうして筆を取りました。
ちなみに、私は現在、小さなAI系ベンチャーで働く1人のエンジニアで、大学人ではないことをここに明記しておきます。

言いたいことは山ほどあります。全てを書き出したらキリがないのですが、まず一言で言えば、冨山氏の提言は時代遅れであり、今の時代にはそぐわない、ということです。
特に以下、冨山氏の提唱する「L型大学」と、そこで教えられるとされる「職能教育」「教養」について書かせて頂こうと思います。

職能教育のレベルが低すぎる

冨山氏は、より実践的な職能教育を行うL型大学の必要性を訴えます。
これ自体の是非は取り置くとしましょう。総論として、そういう意見も一理あるかもしれません。
ただし、細かく記事を拝読するに、氏のいう「職能教育」は、ハッキリ言って程度が低すぎます。

氏の提案では、L型大学の経済学部で会計ソフト「弥生」の使い方、工学部ではTOYOTAの最新鋭の工作機械の使い方を教えろ、とあります。
これを読んで、私は呆れ返りました。氏は日本企業を馬鹿にしているのではないかとさえ思いました。
こんな案を、氏は文科省有識者会議で提案したのでしょうか。これは大学人だけでなく、今時のまともな企業人からも反発されるでしょう。

私はエンジニアですので、エンジニアリングを例にして話をしたいと思いますが……
仮にTOYOTAの工作機械の使い方を学んでも、それが役に立つのはTOYOTAの工場のラインに立つ工員だけではないでしょうか。
それは大学で4年もかけて学ぶべきことでしょうか。工業高校で十分ではないですか。

ではそのTOYOTAで、自動車の設計をする人はどういう職能を大学で学ぶべきなのでしょうか。
最新鋭の設計ツールの使い方を学べばいいのでしょうか。
違いますよね。自動車の動作原理を理解するための機械工学や制御工学、また最近は電気自動車にどんどん移行しつつありますから、電気電子工学の知識も必須です。スポーツカーなら、空力抵抗を理解するための航空工学も要るでしょう。
そうでなければ、どんなにいいツールを使っても、まともに動く、最新鋭の自動車を設計できるはずがありません。
そして、これら各種工学を学ぶためには、力学や電磁気学解析学線形代数微分方程式なども予め学んでおく必要があります。

また、その「TOYOTAの最新鋭の工作機械」は誰が開発すればいいのでしょうか。
どれだけ工作機械を使いこなす技能があっても、その工作機械の性能がまともなものでなくては、精度の良い仕事など誰にもできません。
正確で緻密な工作を行える機械を作るためには、その機械を緻密に設計する技能が必要です。
そのためには、工作機械そのものの仕組みと、工作する対象となる自動車部品の性質を十分に知る必要があります。
それを学問として体系的に学ばなければ、「最新鋭の工作機械」など作れないと思いますが、いかがですか。
それとも、氏は「最新鋭の工作機械」は、日本には東大と京大の一部にしかない「G型大学」で開発すればいい、と思われるのでしょうか。
それではとても手が足りず、日本企業はたちまち国際市場で勝てなくなってしまうと思いますが。

応用の利かない職能教育なんてすぐ使えなくなる

また氏の想定する「職能教育」は、即物的すぎて、応用が全く利かないもののように思えます。
これについては、氏が記事の中で「最先端のAI」と統計について少し触れていますし、私もAIベンチャーで働いていますので、この数年でAI業界、IT業界に起こったことを例にお話します。

この数年、世界的にAIブームが起こって以来、日本中のITエンジニアの多くが、突然線形代数と統計を真剣に学ぶ必要に迫られました。
それまでのIT業界において、線形代数も統計も、一部の例外を除いて、それほど必要とは思われていませんでした。
これが突然「必須科目」となったことで、慌てふためくエンジニアも多かったのです。周囲でもそういう人達を見てきましたし、かくいう私自身、統計は元来あまり得意科目ではなく、苦労した思い出があります。

しかし本来ならば、線形代数も統計も、大学の教養課程で真面目に勉強していれば自然に身についたことです。
こうして日本国内のITエンジニアが泡を吹くのを尻目に、米国や、最近成長著しい中国のIT企業はどんどんAI分野で新しい技術開発を進め、今も成果を出し続けています。

とはいえ、今から「AIのための職能教育」コースを大学に準備していては遅いのです。この分野の現在の技術進歩は非常に速く、1年で知識が劣化します。
これについていくには、一般のエンジニアでも毎日次々とpublishされる論文に目を通し、新しい技術にキャッチアップしてそれを取り入れ、更に自分たちなりの技術をそこに上積みしていくしかありません。そうしないと世界に勝てないのです。

それに今から「AIのための職能教育」コースを作ったとして、効果が出るまで3〜5年かかるでしょうが、その頃には全く別の新技術が世界を席巻しているとも限りません。
そういう時、AIの職能教育しか受けていない人間は対応できません。数年前に日本のIT業界で起こったことが再び起こるだけです。
そういう人材しかいない企業が国際市場で勝てるはずがありません。

Preferred Networks というAIベンチャーをご存知でしょう。
AI*1に関しては東大をも凌ぐ研究開発力を持ち、昨年トヨタから100億の出資を受けた、日本で現在3社しかないと言われるユニコーン企業の1つです。
彼らが人材募集の応募要件に「コンピュータサイエンスのすべての分野に精通していること」と掲げていたのは有名な話です。
それは、新しい分野で技術開発をするには、それについていくだけの学術的な柔軟性と応用力を技術者が持ち合わせている必要があるからです。
実際、彼らは前身の Preferred Infrastructure では検索エンジンの開発をコアコンピタンスにしていました。
それが、AI技術が花開いたとみるやすぐに舵を切り、現在の業態にシフトして、4年程度で今の地位を築いています。

こうした、新技術にもすぐ対応できる「基礎体力」を今の企業人は欲しているのであって、その修練は大学にしか期待できないことです。
その基礎体力こそが「教養」です。冨山氏の「教養」は教養でもなんでもありません。
我々は専門バカが欲しいのではなく、きちんと体系だった学問に基づく広範な知識を大学で身に着けて欲しいのです。
今すぐは要らないと思われる知識も、数年後に突然世界中から求められるようになるかもしれません(現に、AIブームでそれが起こりました)。
冨山氏のような「普通の人には統計は関係ない」から統計を勉強しなくていい、などという態度ではやっていけない時代なのです。
同様のことは、先の Preferred Networks の西川CEO*2も言っていますので、その言を引用します。

一つの分野を知っているだけではもはや強みを出すことはできない時代になってきています。どのような分野と分野を融合したら新しい技術が生み出されるのか、最初から予見するのは難しいことです。私たちには、最先端の技術を切り拓いていくミッションがあります。そのために、すべての分野へ精通するべく、技術を追求していくことが極めて重要だと考えています。

追記

更に付け足すなら、これはG型大学でやればいいとか、L型大学ではやらなくていいとか、そういう問題ではないとも感じます。
高校レベルでの勉強の出来は、社会に出てからの仕事面での能力とは必ずしも直結しません。
にも関わらず、G型L型と分けることは、いわば大学入試で、高校レベルでの勉強の出来で才能を振り分けてしまうことになります。学歴社会もとうに終わろうとしているのに、これは時代に逆行する施策です。
高校で埋もれていた才能をきちんと発掘するためにも、レベルの高い教育を、日本全国どこでも受けられる環境は非常に大事だと思います。

また、もう1ついえるのは「競技人口」の話です。
私の友人のある優秀なITエンジニアは、プログラミングのことを「競技」と称します。
そして彼は「競技のトップレベルは、裾野の人口で決まる」と言います。私も、彼の意見に賛成です。
そしてこれは、一般の学問や科学技術にも言えることです。
G型とL型を分けるのは「裾野の人口」を無為に削る行為であり、ひいては日本の科学技術レベルを貶す行為であり、愚策だと思います。

以上、好き放題書かせて頂きました。読み返すと散漫な文章ですが、時間も限られるのでこの辺で筆を置きます。
乱文失礼致しました。

*1:正直、AIって言葉は好きじゃないし、PFNもAIという言葉は避けているように思うけど、いちいち言い換えるのも面倒なのでそのままにしました。

*2:そういや西川氏も冨山氏も筑駒出身ですね。まぁどうでもいいか。

イーロン・マスクがテスラ社員に指示した社内コミュニケーションの方法が素晴らしすぎる件

gigazine.net

眠れず何となくネットサーフィンしてて、この記事を発見。
凄く良い。痺れた。早速会社のSlackにも貼り付けた。
僕はイーロン・マスク信者ではないけど、これを社員に指示したってのは流石だと思う。
以下、メールの抄訳を一部転載。

会社の中において情報がどのように流れるべきであるかについては、2つの流派がある。これまでの最も一般的だったものは、常に直属の上司を介してコミュニケーションが行われる指揮系統の方法だ。この方法の問題は、上司の権限が強くなる一方で、個人が会社に対して貢献できなくなるというところにある。

(略)

テスラで働く全ての従業員は誰でも、最速で問題を解決して会社に貢献できると考えた相手に対し、直接メールや口頭でコンタクトを取ることができるし、そうすべきだ。直属の上司の許可なしに、その上の上司に話を持って行っても良い。他部署の統括マネージャーにコンタクトを取っても良いし、私(マスク氏)に接触しても良い。誰にコンタクトを取る場合であっても、誰からの許可も必要としない。さらに、物事が正しい方向に進むまで、自分にはその義務があると考えて良い。重要なのは、これは単なる世間話をするためではなく、テスラが超迅速に物事をうまく進められるためであることを認識してもらいたい。テスラが、既存の自動車関連の大企業に正面からぶつかることは明らかに不可能である。そのため、テスラはインテリジェンスとアジリティ(敏捷さ)で勝負する必要がある。

一応、今の会社で僕は話したいと思った人に直接コンタクト取ってたけど、それは規模の小さい零細ベンチャーだったからこそ可能だったのであって、会社が急速に大きくなっていく中でそれができなくなるのでは、と危惧してた。 階層を重視しすぎた組織の意思決定の遅さは前職で痛感していたし、今の会社が今そんなことやってたら確実に潰れるので。

今の、階層があっても事実上フラットなコミュニケーションを維持・徹底することが、スピード感を上げていくためにも必要なんだと教えてもらった気分になった。

ということで、今後も直属の上司を気にせず、ガンガンコミュニケーション取っていきます。上司のSさんスミマセンw

【追記】ただし、これは全ての社員が自立して、責任持って行動するのが大前提です。
常に上司の判断を仰ぐのは、上司に責任を負わせて自分は責任を回避する、ということでもあるので。そのマインドでイーロン・マスクのこのやり方はできないです。 【追記おわり】

【追記2】コレ読んだ Ariga(@chezou)さんから、関連して以下の本を勧められました。

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

早速ポチって合間に読んでます。
【追記2おわり】

「機械学習・ディープラーニングでPythonを使う嬉しさとツラミを分かちあう会」の感想を語る

もう2週間経つんですけど、こんなイベントを企画・司会をしました。というので今更感想ブログ。 mlxse.connpass.com

経緯というか元々の開催目的は以前の記事にあるとおりで、 プログラミング言語に関する国内学会 PPL2018 前に、現状この分野で覇権取ってるPythonを肴に「機械学習ディープラーニングのための言語」の問題点や在るべき姿、を探っていこうという会です。

3人の発表+みんなで議論、というスタイルを取ったのですが、発表お願いした3人が3人とも「やりづらい」とこぼす、企画した者としては大変心苦しい状態ではあったものの、発表・議論はどれも興味深く、大変面白い会になりました。ありがとうございました。

発表1つめ:『行列演算とPythonの言語デザイン』

まずは python.jp 管理人の石本敦夫(@atsuoishimoto)さん。 Pythonがどうしてデータサイエンス・機械学習分野でこんなに使われるようになったのか、その歴史を語ってもらいました。

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※ 画像は以降も含めて全て 機械学習工学研究会 からお借りしています。

僕自身、正直言うと「Pythonじゃなくてnumpyが重宝されてるだけじゃないの」(失言)と思っていたフシがあるんですが、実は歴史的にはPython公式がnumpyを積極的にサポートし、ほぼnumpyでしか使えない構文を提供するなど、numpyという1モジュールをPython公式が丁寧に育ててきたから今があるんだ、とのこと。なるほどそうだったのか。

発表2つめ:『関数型プログラマから見たPython機械学習

2番めの発表はPreferred Networksの酒井政裕(@masahiro_sakai)さん。普段使いの言語はHaskellRubyで、Pythonについては「PyPIにパッケージを登録したこともないザコ」(本人談)とのことでしたが、それでも普段のディープラーニング関連業務でPythonを使っている経験から色々語って頂きました。

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Pythonを使ってみた感想、といえばそれまでなのですが、単なる1ユーザーとしてのそれに留まらず、元・言語系研究者としてのバックグラウンドから、確固とした抱負な背景知識を元に色々な知見や提言を語ってくれました。
shapeに型検査欲しいよね、nchwとか只の慣習でしかない意味付けを元に多次元配列にマジックナンバーでアクセスするの、メモリにオフセットでアクセスしてるのと変わらないよね、てあたりは頷くしかなかったです。

発表3つめ:『Ruby のデータサイエンス分野における取り組み』

最後はmrkn(@mrkn)さん。Rubyコミッタ。Pythonの会ですが、Rubyとデータサイエンスとの関わりについて語ってもらいました。(「この流れでRubyの話する俺が一番やりづらい」と発表前にぼそっとつぶやかれたのが印象的でした。ホントすいません……)

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2016年あたりから、Rubyでもデータサイエンスが扱えるよう、PythonのデータツールをRubyから呼べるブリッジ pycall.rb を開発。また Red Data Tools Project が立ち上がり、Rubyの枠を超えてOSS全体が良くなることを目指しつつ開発が進んでいるとのこと。
印象的だったのは、最後の方で語られた、今後の展開について。Pythonは今後もメジャーであり続けるだろうし、今Juliaが急速に伸びてきていて、将来はおそらく科学技術計算分野で覇権を取っているだろうことを踏まえつつ、RubyPython・Julia が相互運用される世界を目指している、とのこと。またそれらを包括するような、1段抽象度の高い独自言語ができても良いのでは、というお話でした。

最後にみんなで議論

最後、ピザとビール飲み食いしつつ、皆が車座になって色んな話を語り合いました。

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正直、ビールをたんまり注入してしまったのと、だいぶ時間が経ってしまったので何を議論したかハッキリとは思い出せないのですがw、単なる言語の話にとどまらず、エディタ、開発環境、インフラの話まで様々な話が飛び交いました。

余談:PPL2018にて

さて本来の目的であったところの、PPL2018へのフィードバックはできたのか。

勉強会にも参加され、当日招待講演された、丸山宏さん(Preferred Networks)の講演資料。

www.slideshare.net

41枚目以降、酒井さんの発表がそのまま引用されていますねw
またその後の、「パフォーマンスをクロスカッティングコンサーン」とする話も、皆で議論したときに出てきた話題の1つです。

ということで、プログラミング言語研究者コミュニティにも僕らの議論が還元できて、良かった良かった、でした。

最後に:3人の発表資料

3つの発表の資料はこちら。

www.slideshare.net

www.slideshare.net

speakerdeck.com

誕生日の抱負でも書く

ちょっと前回の記事が大変な反響を呼びましたので、その後に普通の記事を書きづらいんですけど。
でも大分落ち着いてきたこともあって書きますが、先日誕生日でした。

毎年いつも、誕生日の後にはFacebookで抱負のような何かを語ってたんですが、今年はブログ再開したこともあって、こちらに書いてみようかと思いまする。
Facebookでお祝いメッセージ下さった皆様、ありがとうございました。
おかげさまで今年は、今までになく充実した気分で誕生日を迎えられました。やることいっぱいあるけど、どれもやりがいあって、楽しいです。ありがたやです。

本業がんばる

昨年転職して、そろそろ会社できっちり成果を出さないといけないところ。 こいつ↓の開発が佳境を迎えてまして、今それですごく忙しいです。

きっちり良いものにしたいんで、頑張ります。

機械学習工学研究会がんばる

転職前から始まったこの活動ですが、最初は任意団体で、単なる有志の会として動いていたものが、研究会を発足しようということになり、「日本ソフトウェア科学会 機械学習工学研究会」(MLSE)を2018年度より発足、することになりそうです。
最初は「機械学習のためのソフトウェア工学」というところからスタートしたのですが、研究会としてはソフトウェア工学だけでなく、機械学習システムを開発・運用するためのツールやインフラなんかも対象にしよう、ということになりました。
公式サイトにも書いてますが、以下が対象となります。

で、なぜか発足後、5月から9月まで毎月イベントをやることが決定してまして、ちょっと過密日程な気がするんですが、まぁ会の運営メンバーの皆さんと共同して、がんばります。
上記のいずれかにご興味ある方、ぜひ5月以降の研究会のイベントにご参加くださいませ。告知は近々出せると思います。

本を作る

以前もちょこっとここで書いたんですけど、ディープラーニングで製品を作るための本を作るべく、水面下で活動してます。
一応企画段階は終わって、ぼちぼち動き始めたというところ。予定だと、6月か7月には、皆様のお手元に届けられるんではないかと思っています。
まだ詳細は明かせませんけど、うまくいけば良い本になる確信はあるので、がんばって進めたいです。

博士……論文……うっ

正直、文字にするのも精神的ダメージを負う状況なんですけども。
いやぁ、去年は朝起きてから出社するまでの1〜2時間と、あとたまに会社休んで丸1日を研究に充てられたんですが。
年を越してから、上記のようにやることテンコ盛りになってしまったもので、全くこちらに時間割けなくなっております。
少なくとも今月はやってる暇ない……何とか4月から再開できたら良いな……うん……

最後に(クレクレ君

クレクレ君で恐縮ですが、Amazonのウィッシュリスト晒しておきます。気前のいい方、ポチってください。
FBにもちょろっと書いたら少しの方が反応くださいまして、既に届いております!ありがとうございます。これから中身見ます。

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裁量労働制は本当に「定額働かせ放題」なのか

まー、何ていうかですね。
僕、エンジニアなんで、基本このブログは技術系の話メインで書きたいんです。
ですし、この話はちょいポリティカルな話でもあるんで、余計に書きづらいのもあるんですが。

ただまぁ状況的に、書かざるを得まい。裁量労働に関して、ここ数日の世間の状況はあまりに無残だと思ったので。

とりあえず、以下にちょいちょい、ここ数日の顛末と、あと僕の言いたいことを、ツイートの紹介を交えてまとめていきます。

はじめに

27日朝に、以下のツイートをしたら、ものすごい勢いでバズりました。

約2日で2万RT。いやぁ、そんなすごいこと書いたつもりなかったんですけども。
裁量労働制」にみんな関心が高かったのと、あと、「過労死1人で罰金50万」を知らない人が想像以上に多かったんでしょう*1
あ、この数字の根拠はもちろん、コレです。

www.huffingtonpost.jp

で結局、裁量労働制の話は、安倍首相による「撤回」で幕引き、と、とりあえず相成ったようで。

www.asahi.com

ただねぇ(ここからが本題)、正直これ、意味あったんですかね?

てかさんざん与党を攻撃してた野党の皆さん、あと(何故か学生団体が主催で)デモまでやって、反「定額働かせ放題」キャンペーンを繰り広げた市民の皆さん。
それに乗っかるマスコミの方々。

本当に、「裁量労働制」って理解してます?
今回の国会で審議されてた内容、本当に理解してました?

ニュースでは世論調査で過半数が反対とか出てましたけど。
ただ、僕は首相による撤回指示のニュースが出た後の3/1朝、裁量労働制に関するアンケートをTwitterで作成しました。
結果は下記の通り。

この472票が統計的にどれだけ意味があるかは知りませんけど、まぁ少なくない数のうちの7割弱は今国会で審議してた内容を正確に把握してなかったです。
これで、世論の過半数が反対、と言われてもね。どれだけの意味があるんでしょう。
こんな状態で国会の審議をしていたの、与野党・マスコミともども問題あるんじゃないですかね。
僕の印象を言わせてもらえば、国民がきちんと理解しないまま、いやむしろ変な誤解を与えたまま、野党による裁量労働制へのネガティブキャンペーンで終わった気がします。
はっきりいいまして、迷惑です。今後、裁量労働制は国会で一切審議できないのでは、という気にすらなります。

自分の立場を明らかにしておく

僕は前職、コンピュータ関係の研究職でした。なので、のべ15年以上、裁量労働制で働いていました。(研究開発職は専門型裁量労働制の対象)
周囲の知人・友人も、裁量労働で働いている研究者やITエンジニアが結構多いです。(SEも専門型裁量労働制の対象)

彼らは(聞いてる限り)裁量労働制に対して非常に好意的。というか、もう裁量労働以外では働きたくないという人がほとんどです。
僕も、今は定時勤務の月給制*2ですが、人事は将来的に裁量労働制を敷きたいと言っているし、僕もぜひ裁量労働制で働きたい。

そんな状況なので、今回の国会での顛末を見ていて皆が口を揃えて言ったのが「こんな流れで裁量労働制がなくなったら困る」でした。

裁量労働のメリット

経営者側からみたメリットなんぞ知りません。あくまで僕の視点で、働く側、労働者側からのメリットを書いておきます。
それは、場所と時間に拘束されないということに尽きるのでは、と思います。
基本、何時に職場に来て、何時に帰る、ということを考える必要がなくなるので。
まぁ会議とかあれば別ですが、それもSkypeかなんかでテレコンやれば済むかもですし。

そして、仕事に対する姿勢や考え方ががらっと変わります。
時間給だと、当然、勤務時間以外で仕事なんて、したくないですよね。お金出ないんだもの。
でも裁量労働制の場合、たとえば家で仕事するのが平気になります。
それってサビ残じゃないの? と思われるかも、ですが。まぁ見方によってはそうですが、一方で疲れたと思ったら平日昼間に休養取ってもいいので、差し引きゼロです。
むしろ自分の働きたいときに働きたいところで働けるので、単なる定時勤務+サビ残よりは遥かに楽で身体にもメンタルにも優しいです。

もちろん、家でなんか働きたくない、という人もいるでしょうし、そしたら職場で働けばいいだけです。
同じ仕事を長い時間かけてやっても意味ないので、さっさと済ませて帰ればいいのです。

こうして、自己の労働の単位が、働く時間の長さという「量」から、何をやるかという「質」に変貌します。どう働くかはその人次第。
この辺は、以下の記事でも書いています。

diamond.jp

フレックスだと代替できないのか

僕は一時期フルフレックス(コアなしフレックス)でも働いてましたけど、やっぱり、裁量労働制とは違います。

たとえば、家庭を持つお母さんが、子供の送り迎えで週3日を2時間短く働いたとしましょう。
この場合、残り週2日は3時間余計に働かないといけません。デフォルト8時間勤務なら、1日11時間。これって、結構キツイと思いません?
でも裁量労働なら、こんなこと気にする必要ありません。きちんと成果さえ出せば、毎日でも子供の送り迎えができます。

結局フレックスだと、労働時間という「量」から逃れられないので、感覚が全然違うんです。
まぁ、フルフレックス+テレワーク+無限の時間単位有休、なら代替できるかもしれません。

裁量労働は「定額働かせ放題」にならないのか

一方で、まぁ僕の周辺にはいませんが、Twitterなど覗いていると、やっぱり裁量労働制で働いて、相当不満を持った人もいるようです。
安倍首相の国会答弁によると、「現在裁量労働で働いている人のおよそ2/3は満足している」とのことで、残り1/3は不満ということに。

僕が先程書いたメリットは、明らかに「仕事に対する個人の裁量」と「受け持つタスクの量」に強く依存します。
で、ブラックな企業が「個人に裁量を与えず」「過剰なタスクを個人に与える」ようなことをすれば、ひたすら悲惨なことに当然なってしまいます。
こうなると、確かに「定額働かせ放題」です。

まとめると

こうなります。

ただし、「有効な手立てがない」とは書きましたが、まったくない訳ではありません。
それは、特に今回の国会で審議された企画型裁量労働制に関しては、適用に際して労働者本人の同意が必要*3、ということです。
そして同意を拒否した労働者に対して、使用者が不利益を講じてはならないことも労基法に定められてます(つまりは強制不可)*4
だから、嫌なら拒否すればいいだけのことなのです。基本は。
そもそも、会社側が勤務時間の指示をしてはいけないことも労基法にあります*5し、要は「本人の意志に反して裁量労働を強制する」とか「個人に裁量を与えない」とかは全部労基法違反なんです。

ちなみに専門型裁量労働制に関しても、労組なり労働者代表なりが拒否すればいいだけなんで。
だから、こう↓

なので、今の国会で審議されてた話にしても、裁量労働制が悪いんではなく、労基法を踏み倒して平気な雇用者がいることが問題なんです。
だから、最初に貼り付けた、このツイートにつながるんです。

結局、労基法を厳罰化するなりして、日本にはびこる、労働者から搾取して平気な雇用者どもの意識を変革する必要があるんです。
裁量労働制かどうかは本質じゃないんです。

なので、どうか野党の皆さん。裁量労働制を悪者にしないでください。腐った日本のブラック経営者を悪者にしてください。

とはいえ

確かに、麻薬撲滅前の今の日本にヒロポン持ち込むのは、時期尚早かも、とは、思ってしまいます。
ただ、短期的なデメリットばかりを見てメリットある制度を捨ててしまうのは、本当に、もったいないんです。

*1:余談ですが、バズりはしましたが炎上ではなかったようで、ほぼ共感か、反論にしても理性的で、ある種納得できる内容のリプライやらコメントだったんで、個人的には助かりました。もっとも、片手で数えるほどではありますが、「与党への攻撃に対する煙幕」だの「虚論だ、今は労働法制を見直している時ではない」だの、訳の分からないイチャモンつけてきた人も、いたのはいたんですけどね。

*2:ただし、みなし残業代つき。ええと月45時間分だったかな……でも、うちの会社では、今まで誰もみなし残業代以上働いたことがないです。僕も今まで、月20時間以上残業したことない。

*3:労働基準法 第三十八条の四の六

*4:労働基準法 第三十八条の四の六

*5:労働基準法 第三十八条の三の三

ニューラルネットワーク使ったAIなんかめっちゃ簡単だから。俺天才wwみたいなフリすんのやめろ

スイマセン。クソ煽りタイトルですが、下記の記事のタイトル意訳しただけです。草生やして更にクソさを増してはいます。

個人的にはぜひ本文読んでこの記事のクソ煽りっぷりを満喫してほしいのですが、英語読むのもメンドクセという方に、何が書いてあるかをさらっとだけ説明すると。

要はニューラルネットワークって、↓のPythonで11行のコード分の処理やってるだけじゃね? こんなの使いまわした程度で「うはwww俺天才www」みたいな顔すんのやめろ、ってことのようです。

https://media.licdn.com/mpr/mpr/AAMABADGAAgAAQAAAAAAAA5JAAAAJDgzOWE4YWVhLTZhNDYtNGQxMy1hOWY5LWZmNGNkMWFiMjU0ZQ.png

まぁハッキリ言って、クソ記事www煽り乙wwwなんですけど。

でもぶっちゃけ、真実なんですよ。ある面においては。

僕も今の会社に入るまでディープラーニングに関する知識ほぼゼロだったけど、今は少なくとも、自分の業務に支障でない程度には理解できてるつもり。

ただ、ディープラーニングをメインでやってる人達がコンパイラやその下のハードウェア、いわゆる計算機科学の基礎みたいなところを学習するのは結構大変そうで、なんか学習曲線の非対称性みたいなものを感じています。

ディープラーニングが簡単、というより、今あるニューラルネットワークの仕組みや、TensorFlowやPyTorchみたいなツール・フレームワークといった辺りが相当整理されてて、技術がコモディティ化しているんだろうなぁと。

一方で、いわゆる「データサイエンス」とかその裏にある統計学的知識、データ分析のノウハウみたいなものは多分ちょっと文献に目を通したり多少コード書いたりした程度では身につかなくて、僕がもし、そこらへんメインでの仕事についてたら恐らくメチャクチャ苦労してたし、こんなナメた事は言ってないです。

実際、前職では機械学習データマイニングを研究しているラボになぜか所属していて、そっち系で一線張ってる人達と専門外の自分との彼我の差は当時すごく感じていたし、Bishop本(これ。和訳はこれこれ)独学は挫折したし、Hastie本(これ、タダ。和訳はこれ)の社内勉強会もついてくの大変でした。

ただ、僕の今のメインの仕事は、あくまで「ディープニューラルネットワークをハードウェア上に実装するコンパイラ屋」なので、正直そういう苦労は味わわなくて良いんですよ。ハッキリ言って。 大まかな仕組みは、線形代数と高校生レベルの微分の知識があったらとりあえずわかります。

山ほど入門本出てますが、とりあえず、昨年ベストセラーになった以下の本読めば、ホントに基礎の基礎みたいなところはひとまず押さえられます。いやホントに。

まぁ結局何が言いたいかっていうと、ディープラーニングなんて、大雑把に理解するだけなら簡単だから、コンパイラ屋さん、もっとウチの会社に来て! ってことです。

ご興味ある方は連絡(Twitterとかに)くだせい。

【2/18 追記】ブコメに、僕の仕事内容を「意味不明」と書かれた方がいらっしゃったので。

僕は今、こういうのを作っています。ディープニューラルネットワークを最適化し、主にFPGA向けのHDLに変換して出力するコンパイラの開発です。

www.slideshare.net

この辺の「バックエンド」と呼ばれる辺りも最近色んな所で開発が進んでいて、競争が激化しています。求められるのはコンパイラとプロセッサ設計の知識です。

ということで、よろしこ。

【/追記】

注:bonotakeは、amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。