うみねこのなく頃にep8感想、続き。あの後ぼんやりと考えていたことを記す。
ネットに蔓延る今作の不満として、今までの謎が一切無く、ネタバラシなくシリーズが終わってしまった、事があると思います。
僕は最初、これはどこかで致命的なミス(うみねこ風に言うと「ロジックエラー」)が発生して、トリックに妥当な説明がつかなくなってしまい、隠さざるを得なかったのかな、と思っていました。
もちろんこの可能性もあるんですが、もう一つ、ep8をやるとわかる別の可能性に思い至りました。
端的に言うと、この話と全く同じトリックを使っていたのでは、ということ。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01/17
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地の文がいじられている(ウソ描写があるかもしれない)可能性は物語の初期に明かされるのですが、それでもだまされるのがこの手法の極悪なところです。
これ以上は『悪意』のネタバレなので書きませんけども…ただ、『悪意』ではウソ描写をほんの少し、ものすごく穏当に使っていたので一応ミステリーとして、まっとうな物語の域を出ずに済んでます。
それでも、最後のネタバラシ後は「今まで自分が読んでいたものは一体なんだったのか」と思わせられるくらい、読み手が自分の中に構築した世界観が揺らぐのです。
思うに、うみねこはこれをやり過ぎたのではないでしょうか。
もう、「一なる真実」とやらは、今までのシリーズを読んで読み手が構築してきた世界観を一気に崩壊させるシロモノになっていたのではないでしょうか。
いや、「真実」がそうなったというより、真実とかけはなれ過ぎた世界観を構築してしまった、ということかもしれません。
なので、物語が完全に瓦解することを恐れて、「一なる真実」は明かされなかったのかもしれません。