bonotakeの日記

ソフトウェア工学系研究者 → AIエンジニア → スクラムマスター・アジャイルコーチ

著作権保護期間延長の話

本当は一次ソースを見てから、と思ったけど長そうだし、何かFirefoxの調子悪くて何故かフラッシュが見られないので、2次ソースだけで。*1


今まで、単純に財産を相続させたいという思いだけが賛成の意見なのかなぁ、と思ってたのですが、どうやら人格権の担保として、財産権(問題になっている「著作権」はこちら)の長期間での存続を得たい、という意見もあるのですね。そういう考え方は初めて知りました。なるほどなぁ、と思わなくもないです。
どうもITmedia等を読むと、松本零二氏はそういうスタンスで語っていたようですし(というか、彼にとっては人格権と財産権が不可分なんですかね)。全体的にも、「名誉の問題」と「財産の問題」がごっちゃになって語られている印象があります。一次ソース見てないんでアレですが。

まぁでも、それならまず人格権の強化と徹底をちゃんとすべきで、財産権でどうこうしようってのは間接的でしかないし、純粋な財産の話もあいまって、却って話をややこしくするだけでは。財産権が70年に延びたところで、人格権の相続や延長とは何の関係もないですし。*2 個人的には「財産権を直接行使する人たち」がただ喜ぶだけじゃないかな、と思います。

例えば音楽業界(作詞、作曲)だと、基本的に著作権財産権)は出版社に譲渡して、更に2次使用の管理をJASRACに信託します(≒著作者が自分の著作物を利用するにもJASRACの許諾が必要)。なので、著作権が無闇に強化(例えば期間延長)されたところで出版社が潤うだけ、原著作者側にとって旨みは遺族年金だけ、著作者の「意に沿わぬ」状況は却って増えてしまう印象が…とか音楽関係でもない人が言ってみるテスト。

※ そもそも、期間延長って、どちらかといえば出版社側からの提起でしょう?少なくとも、著作者が出版社に対抗するためのアクションだとは、ちょっと思えないんですが…期間延長に反対している作家は聞きますけど、期間延長に反対している出版社なんて聞いたことありませんし。

メディアや業界によって著作権の解釈や運用形態はまちまちだし、上の人格権と財産権の混同もあるし、どうしてもこんがらがりますね。うまく交通整理できないもんですか。


ただ、出版社やら管理団体じゃなくて、原著作者の権利を「敢えて」もっと強くさせられるのなら、それはそれで良い状況が作り出せるかも、とは自分も思いますねぇ。クリエイティブ・コモンズみたいな枠組みをオフィシャルに導入して、著作利用を著作者が各自でコントロールできるようにすれば、利用者にも恩恵は出そうな気が。
松本氏のような、子孫代々まで著作権を受け継ぎたい著作者は勝手にやればいいし。一方で、自分の作品をさっさとパブリック・ドメインにしちゃう人もいるだろうし。うまく制限をつけてうまく運用すれば、二者が最適配分されて、経済的にも文化的にもバランスの取れた状況が作れるんじゃないですかね。思いつきで書いていますが。

*1:本当はコメントをつけようかと思ったのですが、ちょっと掲示板化してるかな、と(ぼそ

*2:ちなみに、現行の国内法で、人格権は相続できませんが、著作者の2親等までの遺族が人格権を行使することは認められています。著作権法110条。

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